コードバンドはレーザーカッターを使って製作していますが、その試作はレーザーカッターに出会う前から始まっていました。
革製品が作れるということで、シンプルなコードバンドにロゴの刻印が出来たらカッコイイよねと、ある方に言われて検討してみました。そもそもは以下の写真のようなシンプルなコードバンドというお題でした。
でも同じようなものを作っても面白くない。私が創るなら不便さを解消したいと思うのが実用品プランナーの性(さが)です。 作ってみたのはこんなコードバンドです。
まずは、ホックを開け閉めする時に左右がすぐ持てるように、端の形をずらしてみました。 そしてコードバンドを外した際に、コードにくっついていて欲しくて中心にコードを止める部分を作ってみました。コードバンドを無くさないようにいちいちコードに止めるのは面倒ですよね?
でもコードを挟むような形状を、革だけで製作するのは難しいと実感してこのアイデアは行き詰りました。
そして前記事で書いたように、手作業で革製作すると手間がかかりコストを下げられず、当時の商品化は断念したのでした。
レーザーカッターと3Dプリンタとの出会い
しばらく試作を重ねたものの、挫折してしまったコードバンドでしたが、レーザーカッターと3Dプリンタを使えるようになった時、この行き詰ったアイデアにも再検討の余地があることに気が付きました。レーザーカッターで手作業の手間が簡略化され複数生産が可能になりました。 コードを挟む部分も3Dプリンタで作れる可能性が出てきたのです。
アイデアがお蔵入りになるのは日常。それでも全力で取り組む事には意味があります。考えを巡らせ、実行に移せばスキルが上がります。そして今回のようにチャンスが来た時に、飛びつくことが出来るのです。やってて良かった!
コードバンドとコードホルダー
3Dプリンタでコードを挟むホルダー部分を模索しながら、レーザーカッターで革を裁断。実際に組み立てると、外側の革と内側の革のサイズを数ミリ単位で調整したり、重ねた革が分厚かったりと使い勝手を良くするまでに試行錯誤が続きます。
ホルダー部分は慣れない3Dプリンタでの製作で、プラスチックが薄いと割れるし、丁度しなる位になるまで何パターンも試しました。
いろいろ試作しながらも、手作業と違い複雑な裁断も可能になったので、別のコードバンドも考えてみました。コードに留めておくなら、こちらの方がスタンダードなタイプかもしれません。巻いて止めるサイズも2ウェイにしてみました。
でもコードに留める部分は思ったよりハメづらく、何度も使うと革がクタクタになりそうなので考え直しが必要でした。そこで、ここもホックにすることにしました。
2ウェイは便利なようでイマイチでした。コードが太い巻きの時にあまり見栄えが良くないのです。そこで、しばらく友人達にも使ってみてもらい、どんな長さが使いやすいかを探ってみました。
初の受注
どちらも試作試用を繰り返し、商品化できそうな段階までなんとか辿り着きました。商品を見せて具体的にニーズを探ろうと、自社ロゴ商品を持ち歩くとナント知人からいきなりご注文いただけました!まだ試作試験に近いので、超小ロットで低価格とはいえ有難いお話です。
コードバンドは今までの商品販売と違って、ロゴを受け取ったりデザインを決めたりと、お客様とのコミュニケーションが必要なので、本番前にそのやり取りや未知のロゴデータを試せたことはとても勉強になりました。